奥秩父(埼玉) 秩父槍ヶ岳(1341m) 2020年12月27日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 10:05 登山口−−10:34 相原沢を離れる−−11:51 1450m峰(野鳥の森歩道終点)−−12:02 1430m峰−−12:06 旧アンテナピーク−−12:19 秩父槍ヶ岳 12:28−−12:46 旧アンテナピーク−−12:50 1430m峰を巻く−−12:54 1450m峰を巻く−−13:29 相原沢−−13:36 東屋(直登コース入口)−−13:47 登山口

場所埼玉県秩父市
年月日2020年12月27日 日帰り
天候
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場登山口に駐車場あり
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望無し
GPSトラックログ
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コメント日本山名事典記載の山。旧コンサイス山名辞典では1430m峰を山頂としていたようだが日本山名事典では1341m峰を山頂としている。1450m峰まで遊歩道があったことはネットで知ったが今でも生きているとは思っていなかった。意外にも1450m峰から秩父槍ヶ岳山頂まで登山道があり、しかも危険個所は無くあっけなく登れてしまった。秩父槍ヶ岳から東に落ちる尾根に登山道があったが遭難多発で今は閉鎖されていて登山口には警告あり。地形図を見る限りは山頂直下は崖と思われ、登りで使っても下りでは使いたくない。おそらく登攀用具必須だろう。この日は既に南天山にも登っており秩父槍ヶ岳と合わせると累積標高差は1600mを越えて常念岳日帰りを越えており、昨日の山行と合わせて年末年始休み前に体力を使い果たしてしまった(汗)




登山口から見た秩父槍ヶ岳 秩父槍ヶ岳拡大。顕著なドーム型に見える
登山口付近の駐車場 相原橋登山口。橋は短くてぱっと見では分からない
相原橋登山口。廃道かと思ったら立派な道 ルート図
最初は階段 登山道は相原沢左岸を高巻き
東屋。ここが直登ルート入口 一度沢に下りて再び高巻き
標高800m付近で沢を離れて斜面を登り始める 標高1000m付近
標高1140m付近。傾斜が緩む 標高1200m付近
標高1280m付近から見た秩父槍ヶ岳 標高1310m付近の大木。木の種類は分からない
広葉樹には熊棚 標高1360m付近
1450m峰。ここが野鳥の森歩道終点だが標識等皆無 1450m峰から秩父槍ヶ岳へ向かう。意外にも明瞭な道が続く
1430m峰 1430m峰は南に僅かに開けるのみ
1430m峰の達筆標識。劣化が進んで塗装が剥げている 達筆標識の裏側。設置年月日は2008年12月27日らしい。3名の署名
登山道は1430m峰北側を巻いている TV共聴アンテナがあったらしい場所(旧アンテナピーク)
旧アンテナピークからの下りは急 旧アンテナピークを見上げる。かなりの傾斜
小鞍部で左を巻くように案内あり 巻道には「中津川・槍ヶ岳」の文字
トラバースしながら下っていく 一度鞍部に出るがまた左をトラバース
トラバース中 小尾根を乗り越えて南斜面に移ってから再び尾根へ戻る
やっと秩父槍ヶ岳が見えた 最後の登り。意外にも危険個所は皆無
秩父槍ヶ岳山頂。岩峰かと思ったら樹林に覆われる 唯一の山頂標識
直登コースは通行止め。特に下りで使うのは危険だろう 秩父槍ヶ岳はほとんど展望無し
これが直登コースの尾根。もっと下で崖なのだろう 1450m峰の登り返し
帰りは1450m峰を巻くことに。明瞭な巻道あり 巻道終点。案内標識無しだが木の幹に「ヤリ」のペイントあり
樹林の隙間から見た秩父槍ヶ岳。矢印の区間が危険地帯と思われる 直登ルート入口の東屋
直登ルート入口。強い口調の警告あり。遭難がよほど多発したのだろう 直登ルート。かなり新しい足跡があった
東屋内部。古いがしっかりしている 登山道の整備は毎年やっているようだ
危険ルートはせめて登りで使おう 駐車場到着


・秩父槍ヶ岳は日本山名事典記載の山。記載名はずばり「槍ヶ岳」だが本家本元と区別するため「秩父」を冠するのが適当だろう。どんな山なのか見たことがないが、その名の通り鋭く尖ったピークであると容易に予想が付く。日本山名事典ではこの周囲で最も高いピークではない1341m標高点ピークを山頂としているが、何か理由があるのだろう。

・地形図を見ると周囲はゲジゲジマークの密集地帯で登れそうにない。こんな時こそネット検索。いくつも記録が出てきたが相原沢沿いから秩父槍ヶ岳南西の1450m峰に遊歩道があるとのこと。以前は秩父槍ヶ岳から東に落ちる尾根に登山道があったとのことだが遭難多発で現在は通行禁止とのこと。地形図を見れば分かるが秩父槍ヶ岳東側直下はろくでもない急な尾根で、ほぼ確実に岩場か崖だろう。ここは素直に1450m峰経由で登ることにする。

・検索は軽くやっただけなので私が見たのは10年以上前の記録だけ。今でも登山道があるのか分からないが、もし廃道化していても危険個所は無いだろう。その記録は1430m峰の先にある「アンテナピーク」までで、秩父槍ヶ岳まで道は無いらしい。逆に言えばTV共聴アンテナがあるのでそこまで道があるのだろう。この尾根の南直下は崖マークの連続で、果たして秩父槍ヶ岳までたどり着けるのか不安が残るが、最も安全性が高いルートには違いない。

・登山口は南天山から秩父に戻る途中にある。県道にかかる相原橋という短い橋で最初は見落としてしまったが、すぐ隣の広い駐車場に「相原」の文字を見つけてUターンして登山口を発見。廃道かと思ったら登山口の標識類を見る限りは現役の登山道らしく一安心。

・広い駐車場には車が1台のみ。日が当たりそうな位置に駐車して出発。既に南天山で標高差700m近くを往復しており、これから向かう秩父槍ヶ岳の累積標高差は約1000m。昨日の疲労が残った状態で今日の総累積標高差が1600mオーバーであり、これは北アルプスの常念岳を越える数値だ。これまでの経験では1日で複数の山に登る場合、2山目以降でこんな標高差の山は登ったことはなく、体力的に限界に近いだろう。まだ時間はたっぷりあるのでのんびりと登ることにする。当然ながら暗くなってもいいようにライトを持つ、というか入れっぱなしであるが。

・登山口には「野鳥の森案内図」があり「野鳥の森歩道」は1450m峰までのようだ。これはネットの情報で知っている。登山口近くの野鳥観察小屋付近の歩道終点が通行止めになった秩父槍ヶ岳への直登ルートだろう。この図にはマジックで手書きの文字が追加されているが「秩父槍ヶ岳」の文字は読めても他が不明。でも山頂マークの位置からすると1341m峰ではなく1430m峰を指しているようだ。

・登山道は極めて良好でつい最近人が入った形跡が濃く、予想と違って現役バリバリの登山道だった。地形図の破線通りに相原沢の左岸を高巻きしている。右に大きな沢が分岐する地点で一度沢に下るが流れを渡ることはなく左岸側を歩く。ここには真新しい倒木があったがきれいに切断されて邪魔にならぬよう処理されていた。手入れも頻繁に行われているようだ。

・再び左岸を高巻きして標高800m付近で相原沢を離れて右手の斜面を登り始める。一面の植林帯で尾根ではなく斜面を斜めに登っていくので読図で現在位置を把握するのは難しく、高度計の表示が頼りだ。読図で高度が判明したのは傾斜が緩んで明瞭な尾根に乗った標高1150m付近であった。これ以降は尾根を登っていく。

・標高1200〜1250m付近は傾斜がきつくトラロープも登場する。標高1280m付近で樹林の隙間から初めて秩父槍ヶ岳らしき姿が。南側から見ると地形図通りに山頂直下は絶壁だが、1450m峰からつながる尾根は大丈夫だろうか。

・標高1310m付近には斜めに生えた落葉樹の大木あり。木の種類は不明。少なくともブナやコナラ、ミズナラではない。そういえば落葉樹には熊棚も見られた。この山深さならいて当然だろうが、もう冬眠しているかな。

・1450m直下の植林帯の尾根は急な登り。右に巻くような踏跡があるが1450m峰を巻いて1430m峰に行けるのかもしれないが、往路は1450m峰てっぺんを踏もうと考えているので直進。最後は尾根に南側を僅かに巻き気味に登っていき、山頂の僅かに南側から山頂に到着。ここが歩道終点と言うが案内標識等は皆無。山頂標識も無い。

・この先は道は無いと思っていたが、尾根上には明瞭な道と目印が続く。多少岩っぽ姥所もあるが危険はなくごく普通の尾根。地形図上の崖マークはまだ先だからなぁ。

・次に登り切った樹林に覆われた1430m峰には「(コンサイス)秩父槍ヶ岳」と書かれた達筆標識あり。かなり塗装が剥がれて劣化が進んでおり、文字が完全に読めなくなるまで長い年月は必要としないだろう。裏面を見るとこれまた塗装が剥がれて一部の数字が読めないが、2008年12月27日設置らしい。設置した人の署名は3名で「K.A、T.O、M.K」。通常はK.Aのみなので珍しい例だ。ちなみに「コンサイス」とは三省堂が出版していた「コンサイス日本山名辞典」のことで絶版となっている。私の記録で良く出てくる「日本山名事典」は言わば「コンサイス」の「上位互換品」である。

・1430m峰手前から山頂を左に巻く踏跡が分岐していたが、1430m峰てっぺんから尾根上を秩父槍ヶ岳方面に向かう道は無く、さっきの巻道が登山道であった。1430m峰北東直下は傾斜がきつく上り下りは危険なのであった。

・樹林に覆われた緩やかな尾根を進むとちょっとだけ樹林が開けて日向のある肩のような微小ピーク登場。どうやらここが昔はTV共聴アンテナがあった「アンテナピーク」らしい。今はアンテナの形跡は皆無でタダの通過点に過ぎない。地形図上では1410m肩に該当する。

・「アンテナピーク」からの下りは急で特に下りは転落注意。岩は無いがフィックスロープが欲しいような傾斜であり、木の根に掴まりながら慎重に下った。ここは尾根上に灌木や立木が少ないので手掛かりに乏しいのであった。

・少し進んで微小鞍部に出ると古い黄色い案内標識が登場し、尾根を左に外れて下る道を指して「槍ヶ岳・中津川」と出ている。どうやら登山道はここで尾根の北側を巻き始めるようだ。ということは直進の尾根には岩などの危険地帯があるのだろう。ここは地形図では尾根南直下は崖マークの連続地帯だからなぁ。

・この巻道は意外と長い区間で尾根上は危険個所がずっと続くのだろう。巻き道は危険個所は無く安全に通過可能であった。一度小鞍部で尾根に復帰するもすぐにまた北側を巻き始め、標高1340mの北に延びる緩やかな尾根を乗り越えて東に移ると樹林越しだがやっと秩父槍ヶ岳の姿が見える。ここから見ると顕著なピークではあるが岩山ではなく緑に覆われたピークであった。

・鞍部付近で尾根に復帰し、以降は山頂まで尾根上を登っていく。山頂直下で多少の岩が登場するが危険はなく、地形図に描かれている南側にあるはずの崖の存在は尾根上からは感じられない。傾斜が緩めば待望の秩父槍ヶ岳山頂に到着。

・山頂には手製の古びた山頂標識は1つあるのみ。地形図記載の山ではないのでこんなものだろう。残念ながら山頂も岩山ではなく深い樹林に覆われて展望はほぼ皆無。本家本元の槍ヶ岳とは大違いだが、標高が違うので仕方がないだろう。ここから登山口へ直接下る「直登ルート」入口には通行止めの看板とトラロープあり。先を覗いたが山頂付近ではまだ危険地帯は見えなかった。しかし少し先に目印の荷造り紐が風にたなびいていて、公式には利用禁止となった今でも利用者はいるようだ。ここはルートが崩壊して通行止めになったわけではないようなので、岩装備を持ちその装備を使いこなせる技量を持った登山者なら通過可能なのだろう。帰宅後にネット検索したら今年に入って登った記録がいくつも見つかった。

・さすがに疲れたので僅かな日向を見つけて山頂で休憩。帰りは標高差で100mほど登り返す必要があり、まだ体力を消耗する。ただし往路でルートの様子が分かったので帰りは安心して歩けるのは有り難い。ここまでまともな道があるとは思っていなかったので、秩父槍ヶ岳は予想以上に多くの登山者が訪問しているようだ。

・帰りはほぼ往路を戻る。ただし1450m峰は東の巻道を利用した。ここも歩く人が多いようで道は明瞭だった。ただし、登山口から登ってくる場合は巻道の入口が分かりにくいのが難点。入口の立木に薄れた黄色いペイントで「ヤリ」の文字が書かれているが、文字のある面が巻道入口を向いていないのであまり役立たないのが悲しい。

・巻道通過後は往路を戻る。帰りは相原沢沿いにあった東屋に立ち寄ってみた。予想通りここが秩父槍ヶ岳直登ルート入口で強い口調の通行止め看板がかかりトラロープで塞いであった。しかしその先に続く道には新しい足跡があり、今でも利用者がいることが分かる。

・登山道に戻って登山口へ。駐車場には私の車しかなかった。登山道の状況からしてそれなりに多くの登山者が登っているのは明らかだが、毎土日に必ず登山者がいるわけでもないようだ。それでも予想以上に良好な登山道で藪山かと思っていたのは大間違いで、一般登山の範疇の山であった。

 

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